腰痛・背部痛の病名
ぎっくり腰(急性腰痛)
状態
急な原因で、腰周囲の筋肉や関節、靱帯に傷がついた状態です。
きっかけとなる原因の翌日にかけて痛みが強くなります。
症状
程度は様々です。
痛みのため、全く動けなくなる状態から、多少動きが緩慢になる状態まであります。
原因
一般には、【重い荷物を持つ】ことが原因とされていますが、以下のような原因で起こることがあります。
・軽いバッグを取ろうとしたとき
・椅子の背もたれの後ろに落としたものやバッグを取ろうとしたとき
・長時間座っていた後に立ち上がったとき
・高いところにあるものを取ろうとしたとき
・顔を洗った後
対応
基本的には、筋肉や関節に対してアプローチをして、痛めた場所に負担が掛からないようにして、傷が治るのを待ち、さらに違和感などの後遺症が残らないようにするのが目的です。
一回で良くなったりするケースがありますが、傷が完全にある場合は、時間が掛かります。
その状態が確認せずに、一回で良くなりますと標榜する治療室には、行かない方が良いように思います。
また、湯船に浸かることは避けておいた方が良いと思います。先生によっては温めると言う先生もいますが、炎症があるため、痛みが強くなります(ただし回復が早くなる可能性はあります)※指を切ったときにお風呂に入ると痛みが強くなるのと同じです。
ただし、年齢やきっかけにより整形外科を受診した方が良い場合があります。
圧迫骨折や疲労骨折など骨折をしている場合があります。この場合は、代替療法ではなかなか改善が見られないことがあります。
整形外科で、投薬や牽引の治療だけの場合は、代替療法を選んだ方が良いことがあります。
一部で、ブロック注射が効果的の場合がありますので、整形外科で御相談下さい。
椎間板ヘルニア(椎間板障害)
状態
腰の背骨と背骨の間にあるクッションのようなものが切れたり、さらに中の綿のようなものが飛び出るような状態です。
症状
通常、腰痛に加え、足に強い痺れが出て、背中を反らしたときに、痺れが強くなる傾向にあります。
整形外科では、【痺れがなくても】椎間板ヘルニアと言われるケースがほとんどです。
ただし、文献によると腰痛のない人の5人に1人は、椎間板ヘルニアと言われるような状態であるようです。
原因
・不良姿勢で重い荷物を持つ
・不良姿勢で【何度も】重い荷物を持つ
椎間板に負担が掛かることを繰り返すと生じやすくなります。
対応
痺れが【ない】椎間板ヘルニアに関しては、代替療法で効果的な治療が望めます。治療法も変わりません。
痺れが【ある】椎間板ヘルニアに関しては、靴擦れのように神経や周囲の筋肉などにぶつかって、炎症が起きていますので、時間が掛かるケースがほとんどです(数ヶ月単位)。
整形外科では、通常牽引と、神経の循環を良くする薬(ビタミン剤)、痛み止めがほとんどです。
最近では、ブロック注射を用いるところもあります。ブロック注射がとても良く効く場合もありますので、試してみるのも良いかもしれません。
個人的には、整形外科を受診し、2週間ほど治療を受けて、良くならない場合に、代替療法を受診が最もコストパフォーマンスが高いように思います。
ただし、代替療法の方が積極的なアプローチが可能であるように思いますので、いきなり代替療法受診でも大丈夫だと思います。
変形性腰椎症
状態
腰の背骨が変形し、神経が出てくる穴が狭くなったために、足にしびれが出てくる状態です。
症状
足や脚に【電気が走るような鋭い】痺れが出てきます。特に腰を反らした時にしびれが強く出てきますので、
・高いところにあるものを取るときなどに、腰を反らした際に感じるようになります。
神経に沿ってのしびれで、神経を圧迫しているために、感覚の左右差や、スリッパが脱げる、つまづきやすくなるなど、つま先が上がりにくくなります。
原因
不良姿勢による長時間の腰への負担
腰を鳴らすクセ
交通事故による腰の不安定感
で、腰の骨が変形し、症状が出てきます。変形には長期間かかるため、40歳代以降に症状が出てきます。
対応
カイロプラクティックによる施術が最も効果的です。
背中や身体のバランスを整え、腰にかかる負担を減らし、変形し狭くなった穴を広げやすくするのが目的です。
整形外科では、「老化による変形なので、上手く付き合っていくしかない」と言われ、ビタミンB群などで神経の回復を狙いますが、積極的な方法はありません。
整形外科では、変形性腰椎症と言われても、しびれは、椎間関節症候群が原因であることが多いように思います。
腰椎すべり症
状態
通常、5つある腰の背骨の一番下(5番目)が、骨が離れ(骨折)し、前にすべってしまう状態です。
全人口の5%に見られると言われ、エスキモーでは、ほぼ100%に見られます。
10〜20歳代に多く見られる【分離】すべり症と40歳以上に多く見られる【無分離】すべり症があります。
症状
通常、腰(特にお尻のすぐ上付近)に痛みが出てきます。
すべりの程度などにより、痺れを訴えることもあります。
原因
近年、多くなってきた原因として、
サッカーやテニスなどの繰り返し腰を回転させるスポーツが挙げられます。
ただし、2歳児の5%に腰椎分離すべり症が見られると言う文献もあり、この場合は、10歳代などで腰痛が出たときにレントゲンを撮ったときに、偶然、発見されます。このため、分離すべり症が、必ずしも腰痛の原因にならないとも考えられます。
対応
一般に、【分離】すべり症は、骨折の状態と同じですが、腰椎分離症に関しては手術を行われず、そのまま安静と投薬が主な治療となります。
整形外科では、安静と、神経の循環を良くする薬(ビタミン剤)、痛み止めがほとんどです(場合によりブロック注射)。
腰部と腹部の筋力のバランスを整え、さらに腰に掛かる負担を減らすために、代替療法(カイロプラクティック)が積極的な対処となります。
椎間関節症候群
状態
腰の背骨と背骨の間にある関節に問題があり、そこが原因で、腰に痛みが出てくる状態です。時折、足に「鈍い」痺れを感じます。
症状
通常、腰に同一姿勢を続けた後あるいはその最中の鈍い痛みと腰を動かしたときなどのズキっとした痛みを感じます。
時折、足に【鈍い】痺れが出てきます。一般に、神経に沿ってのしびれですが、神経を圧迫していないために、よく調べてみると感覚の左右差などがあまりありません。
原因
長時間の不良姿勢や運転による腰への負担などが原因で、関節が硬くなったり、働かなくなることによって起こる。
対応
カイロプラクティックによる施術が最も効果的です。関節の動きの悪さや硬さに積極的にアプローチできるのは、カイロプラクティックのみで、その他の療法に比べ、短期間で改善が期待できます。
整形外科での腰全体の牽引で改善が見られるのは、椎間関節症候群が多いように思います。
整形外科では、レントゲン撮影により、椎間板ヘルニアと診断されることがかなり多い状態です。
足にしびれがあるため、椎間板ヘルニアと診断されますが、ほとんどのしびれは、椎間関節症候群が原因であることが多いようです。
個人的には、最も多く見逃されている状態のように思います。
同僚には腰痛がないのに、自分にはある。高齢者でも腰痛を感じている人がいる一方で、元気に痛みがない人もいる。
これの原因が関節の動きの悪さで、職場などでも、サボっている人もいれば、かなり働いている人もいます。かなり働いていた人が、働けなくなり、仕事が回らなくなった状態と考えていただけるとわかりやすいと思います。
腰部脊柱管狭窄症
状態
腰の背骨が変形する、あるいは椎間板ヘルニアにより脊髄が通る穴が狭くなったために、足や脚にしびれが出てくる状態です。
症状
主に訴える状態としては、数百メートル歩いた後に、足にしびれがでて、それ以上歩けなくなるが、前屈みでしびれが回復します。(間欠性跛行と呼ばれる)
原因
・不良姿勢による長時間の腰への負担
・腰を鳴らすクセ
・交通事故による腰の不安定感
で、腰の骨が変形する。あるいは、
・重いものを持った状態で腰をねじる
などで、椎間板ヘルニアが生じ、症状が出てきます。変形の場合は長期間かかるため、40歳代以降に症状が出てきます。
対応
最も対応が難しい状態です。変形が原因の場合は、どの療法でも効果を実感できにくいように思います。
背中や身体のバランスを整え、腰にかかる負担を減らし、変形し狭くなった穴を広げやすくするのが目的です。
整形外科では、「老化による変形なので、上手く付き合っていくしかない。歩く距離がかなり減ったり、股間部に痺れが出てきた場合は手術も考えましょう」と言われ、ビタミンB群などで神経の回復を狙いますが、積極的な方法はありません。
腰部脊柱管狭窄症と言われ、間欠性跛行があったが、筋肉の疲労が原因だったというケースが稀にあります。しっかりと診断してくれるところに行きましょう。
【注意】
間欠性跛行は、動脈硬化でも出てくる症状なので、医師としっかりと相談して下さい。
梨状筋症候群
状態
お尻の筋肉が強く緊張して、その下にある神経を圧迫する状態です。
症状
通常、お尻の緊張(凝り)と太もも後面から下の痺れ(太もも前面は感じません)が出てきます。人によっては、腰痛として感じる方もいらっしゃいます。
原因
歩き方が悪い、あるいは椅子、靴などが合わずに、お尻の筋肉に負担が掛かり、緊張が強くなる
対応
基本的には、マッサージや鍼、ブロック注射が効果的です
筋肉を緩めるのが、主な目的となるので、鍼は効果的です。
改善があまり感じない場合は、歩き方や骨盤の問題が考えられますので、カイロプラクティックなども良いかもしれません。
腎盂腎炎
状態
腎臓に感染症を起こし、炎症自体あるいは、その炎症が原因で腰の緊張を引き起こし、痛みを感じる
症状
腰でも背中との境目くらいに「重だるい」痛みが出てきます。
その他、発熱や頻尿となる方もいます。
原因
最も多いのは、風邪の菌が腎臓に移動するために起こります。
風邪の後、1〜2週間以内に腰が痛くなった場合は、可能性が高くなります。
以前は、子供にしかないと言われていましたが、意外と多く見られます。
対応
内科・腎臓科から処方される抗生物質が効果的です。
感染症なので、抗生物質がかなり効果的です。
内科などで処方された薬は必ず飲みきって下さい。
腎臓結石
状態
腎臓に石が溜まった状態です。
症状
腰でも背中との境目くらいに「重だるい」痛みが出てきます。
その他、発熱や頻尿となる方もいます。
原因
以前は、ホウレンソウの芯が原因で、よく起こるとされていましたが、近年のワインブームのためか、ワインに含まれる抗酸化剤による腎臓結石が見られるようです。
その他、日本酒の抗酸化剤でも見られるようです。
対応
泌尿器科での超音波破砕が一般的な治療法ですが、結石が膀胱に移動するときに出てくる強い痛みがないと、そのまま様子を見ましょうと言われる一方で、腰痛の原因にはならないと言われるケースがほとんどです(ただ、強い痛みがでて、破砕をすると腰痛も無くなるので、原因は結石だと思われます)。
その他の病名
その他
【代替療法で対応できる】
単純な筋疲労
腹筋と背筋のアンバランス
【代替療法で対応できない】
腎臓癌・前立腺癌の骨転移
大動脈瘤
膵炎
など様々な病気があります。
ただし、
どのような療法(整形外科や代替療法を含む)に掛かっていようと、ただ単純に腰が痛いと伝えていると的確に原因が分からないことが多くあります。
自分で気になるところを意識して伝えて下さい。
また、いずれの治療を受けていたとしても、2週間ほどしてあまり効果を感じない場合は、別の治療法を試してみてはいかがでしょうか?
個人的な意見としては、予約制ではないところや、接骨院のように多数の人が来る場所では、あまりしっかりと原因を判断していないように思います。